私が勤める会社で行われている読書会のお題としての二冊目。 個人的には「Web進化論」を推したんですが、 「難しい」との事で、こちらの本になりました。 正直言うとこっちも十分難しいです。 と言うより、全体的にテーマを広く取りすぎたかな?って気がします。 Web2.0(ウェブツーポイントオーね)の概念については、 ちゃんと書いてあると思います。Tim O'ReillyのWhat is Web 2.0にもふれているし。 初めの方のサマリーよんで、「おいおい!」って思ったけど、その後でちゃんと解説してあった。 誰かが、読書会の時にサマリーの方を纏めて来たら、突っ込んでやろう。 それはさておき、 この本が扱っている内容は非常に広いのに驚きました。 セマンティック・ウェッブや、マイクロ・フォーマットまで書いてあります。流石に言葉たらずというか、誤解をまねく書き方もされていますが。 「Web2.0が世界を変える」なんてセンテンスがあって、ちょっと驚きました。 見事に主体と客体を取り違えている。 おそらく筆者は理解した上で言っているのだろうけど、コレを読んだ人の90%は勘違いするのではないだろうか? 別にWeb2.0という仕様、あるいはモデルが出来たから、世界が変わっているわけではないです。 むしろ、
  • チープ革命
  • インフラの整備
  • ロングテールとパレートの法則の崩壊
  • サーチエンジンの進化によるサーチエコノミー → アテンションエコノミー
  • バーチャルな経済圏の誕生
  • オープンソースムーブメント
  • データ自体の重要性への再認識
  • Wisdom of crowds
  • folksonomy
  • RSS
  • etc...
イノベーションによってもたらされた既存秩序の崩壊と、あたらなルールへのパラダイムシフト。 そういった変化の状況をひっくるめて、一つの象徴的な言葉として誕生したのが、「Web2.0」なのです。 「Web2.0」は公式なバージョンでもなければ、技術ですらない。 (勿論技術も含まれますけど、枝葉でしかない) 「Web2.0的」という言葉が生まれたのもそのせいですね。決まった仕様なんてないですから。「Web2.0準拠!」とか言ってる人は(ネタ以外では)流石に見たことありません。 その辺りとメディアが取り違えた事、何でも2.0を付け始めた辺りから、世の中のイノベーターやアーリーアダプターはウンザリしてしまったのですね。 どちらかと言うと、Web2.0自体はWebをシンプルな方向に導いています。本来のWebの有るべき姿へと回帰していると言っていいでしょう。 セマンティックWebなどは、ティム・バーナーズ・リーが本来構想していたWWWの事ですからね。(言葉自体ができたのは1998年ですが) Ajaxにしても、いかがわしかったDHTML+苦労させられたJavascript+イマイチはやらなかったXMLHttpの再利用ですから。 結局、1st decadeはイノベーションの時代だったわけですが、そこで培われた技術やメソトロジーといったモノを2nd decadeになってようやく正しく理解し、正しく使えるようになった。そして、Webの本来の有るべき姿とそこからもたらされるものの巨大さに気がついた。それが「Web2.0」なのではないでしょうか?? その辺りの思想的な所をもう少し書いて欲しかったかなぁ。 全体としてはよく纏まっていたとは思います。 文系のための「Web2.0」入門 『文系のための「Web2.0」入門 』 小川 浩  著 青春出版社 ¥ 788 (税込)