自分強化月間二十一冊目の本。実際読んでいる順番とは多少前後してしまうんですが、この気持ちを忘れないうち書きたいので先に書いてしまいます。

これぞまさに司馬遼太郎!
司馬遼太郎先生の作品は久しぶりのよんだんです(めぼしい所はほとんど読んでしまったから)。しかし、こんな素晴らしい本を見逃していたとは!!って作品。
久しぶりだからこんなにのめりこむのか、この作品が特に素晴らしいのか、幕末の動乱の時代が心を高ぶらせるのか、主人公の不思議さがそう思わせるのか・・・おそらく全てでしょう。

主人公は村田蔵六(後の大村益二郎)です。
この人はそもそもは百姓の出です。といっても、家業は医者でした。
後に長州の総司令官になるこの人物の不思議さは、出世欲とは無縁だった事でしょう。病に苦しむ人々を少しでも救いたいと思い、当時国内で特に高名だった緒方洪庵の適塾に入門します。福沢諭吉も適塾の出です。作品中ではこの二人の違いが見事なほど対比されて描かれています。

当時医学を学ぶといっても、今日の医学部のようではなく、オランダからもたらされた医学書を読むため語学をメインに学んでいました。いわゆる蘭学者ですね。

折りしも時代はペリーの来航によって、外国の知識を必要としており、蘭学者は枯渇していましたから、引く手数多で蔵六にも声がかかります。で、長州に仕えるのかというと、そうではありません。彼は偶然の出会いによって、伊予国宇和島藩に仕えます。ここも面白いところです。

後に江戸に出て「鳩居堂」を開塾し、蘭学・兵学・医学を教えます。また、宇和島藩御雇の身分のまま、同時に幕府の蕃書調所教授方手伝となり、安政4年には幕府の講武所教授となります。

やがて長州の総司令官として戦う幕府に仕える所も、この人の人生の不思議さでしょう。そんな蔵六が桂小五郎によって長州に引き戻されるところまでが上巻のお話です。

そんな蔵六の不思議さを、見事に丸裸にしてしまう辺りは司馬遼太郎先生ならではです。特に福沢諭吉との性格の違いを見事なコントラストで描いている箇所は、天才性を感じます。

日本人に生まれて司馬遼太郎作品を読まないのは非常に勿体無いな、とつくづく思わされました。


『花神(上)』
司馬 遼太郎 著
新潮社 ¥660 (税込み)

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このページは、hackmylifeが2006年3月23日 22:32に書いたブログ記事です。

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